ニコッと笑ってみせたあたしを見て、お父さんとお母さんは安堵の表情を漏らす。
「柚。実はね、だいぶ前に担任の桐生先生から、留年の話は聞いてたの」
「え、そうなの?お母さん!」
箸でコロッケを掴もうとしていたあたしは、予想外の言葉を耳にして、戸惑いを隠せなかった。
桐生っちってば、ちゃんと担任の仕事してるんじゃん!
「柚が留年しそうって聞いたときは、お父さんもお母さんもハラハラしちゃったけど、別に、留年が恥ずかしいなんて思ってないわよ?」
「え……?」
「だって、学校だけが全てじゃないでしょ?留年したとしても、何か収穫があると思うし。
……だけど、柚が頑張るって言うんだったら、お父さんもお母さんも応援するわよ」
お母さんの言葉を聞いて、涙が出そうになるけど、我慢した。
ふたりの子供に生まれて、本当によかった。
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