俺をオトしてみろよ。~愛しのドクターさま~




お母さんが用意してくれたコロッケを頬張りながら、簡単に今日の出来事を説明してみると、お父さんとお母さんが、とても悲しい表情を浮かべていた。


ごめんね、ふたりとも。

娘が留年なんて、親として恥ずかしいもんね。


お父さんもお母さんも、お兄ちゃんも。

みんな医療系の道に進むために、必死に勉強してきたというのに、あたしは何やってるんだろう。


頭がバカだから、どうせ勉強苦手だからって、どこかでそう言い聞かせて逃げていた気がする。


今、お父さんとお母さんの顔を見て、はっきり分かったよ。


あたし、どんなに辛くても、逃げない。


池谷くんにどんな暴言吐かれたって、絵梨にゃんがあたしを見捨てて帰ってしまう日が続いたって。




「お父さん、お母さん、ごめんね。あたし勉強頑張るから、しばらく晩ご飯作れそうにないや……」



「柚……」



「でも、絶対に留年しないよ!あたしはふたりの子供だって、胸を張りたいから!」




あたしの唯一の長所は、前向きなところ。


この長所を、今生かさないでどうするんだ!




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