俺をオトしてみろよ。~愛しのドクターさま~




「お前、ちゃんと意識あるんじゃないか。なんだ、そんなに唇を突き出して、タコにでもなりたいのか?」



「へ…?」




幸せな世界から、一転。

急に聞こえた冷たい声に、あたしは夢の世界を彷徨うことをやめ、パッと目を開く。


そこには、タオルと水が入ったペットボトルを手に取っている、先生の姿があった。


でも、さっきのような優しそうな表情ではなく、呆れているような、そんな表情をしているけど。




「あれ…?あたし、雲の上に乗ってたのに」



「は?」



「先生に抱きしめられながら、雲の上に乗って、空をお散歩してたんですよ!そしたら先生が、超甘い顔であたしにキスを―――」




って、あれ。

ここ、雲の上じゃないんですけど。


あたしは今、どういう状況に置かれているんだろう。




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