「出てるとこは出てるし、締まってるところは締まってるし。柚でアピール出来る部分と言ったら、それしか思いつかないわ」
頭を抱える絵梨にゃんは、真剣そのもの。
あたしは破天荒すぎる展開に、口をパクパクと動かすので精一杯だった。
―――あんなに冷静で、余裕ありまくりの先生を、こんな方法で落とせるわけないじゃんか!
正面から堂々とアタックしたほうが、まだ勝算があると思うんだけども。
「というわけで、柚。帰ったら早速、お色気作戦実行するのよ!」
「結果もすぐに教えてよね!」と宣言する絵梨にゃんは、まるであたしの恋愛実行委員長。
張り切る司令塔に、あたしは返す言葉もなく、反抗出来るわけもなく。
「む、無理だよお…」
珍しくこぼした弱音を、絵梨にゃんが拾ってくれることはなかった。
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