怒りのオーラを撒き散らしているマイダーリンは、足が動かないあたしを追い抜かし、自分で部屋を探しに行った。
どんどん、視界に入る姿が小さくなっていく。
マイダーリンの存在が、遠くなっていく。
―――離れて、行かないで。
「だって、しょうがないじゃないですかっ…!!」
気が付けば、涙混じりの声で、そう叫んでいた。
反論されると思っていなかったのか、はたまたあたしが泣いている事に驚いたのか。
マイダーリンは目を丸くし、あたしが立っている階段の方に視線を向ける。
「こんなにドキドキしたの、初めてだったから、どうすればいいか分かんなくて!」
「何言ってんだ?」
「あたし―――アナタに、恋をしちゃったみたいなんです!」
そして、つい口にしてしまった。
初めてマイダーリンを見た時の、胸の高鳴りの理由を。
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