俺をオトしてみろよ。~愛しのドクターさま~




しかし、マイダーリンが両親の前で付けていた仮面は、すぐに剥がれる事となる。


ルンルン気分で二階へと向かう階段を上っている最中に、あたしが掴んでいた腕を、乱暴な手付きで退けてしまったのだ。




「調子に乗るな」



「へ?」



「お前の両親の前だから…と思って我慢していたが、お前の態度は初対面の人に対してあまりにも失礼じゃないのか?」




順調に階段を上り続けていた足が、ふと止まってしまった。


というか、動かす事が出来なくなった、という方が正しい。


急に優しい王子様から、無愛想で反抗的な冷たい視線を突き付けてくる悪魔へと、華麗なる変貌を遂げてしまっていたのだから。




「お前高校二年生なんだろ?人に迷惑を掛ける事だってくらい、簡単に分かるだろ?」




あたし、今、怒られてるんだ。

だから、こんなにも心が痛いんだ。




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