俺をオトしてみろよ。~愛しのドクターさま~

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「ここって……」



「ささ、入ってよ。軽く何か作るからさ」



「いえいえ、申し訳ないですから!」



「勝手に俺が連れてきたんだから気にしないの。お昼まだでしょ?また柚ちゃんが美味しいって言ってくれたパスタでも作るからさ」




水樹さんはあたしの意見なんて聞かず、ひとりでログハウスの中に入ってしまった。


あたしは溜め息をついて、水樹さんの後を追いかける。



――連れてこられたのは、水樹さんがシェフを務める、あのイタリアンのお店だった。


今日は定休日らしく、店内はガランとしている。物音も、水樹さんがいるであろう厨房からしか音がしない。


水樹さんの勢いに圧倒されたあたしは、近くにあったソファータイプの席に座った。


相変わらず窓から零れる木漏れ日が優しい、落ち着く場所だった。



先生がいないこの場所にいるなんて、なんだか不思議な気分。




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