「…何をしている?」
「部屋を案内してあげます!ほらほら、張り切って立っちゃって下さい!」
一瞬嫌そうな表情を浮かべた事は、あたしへの愛情の裏返しだと思っておく。そう信じておく。
いつも以上に無鉄砲なあたしの行動を、両親は苦笑いで傍観していた。
「ごめんな朔夜君。柚のワガママに少しだけ付き合ってやってくれ。な?」
「その子、真っ直ぐな性格だから、すぐに周りが見れなくなっちゃって」
こんなに説得されたら、いくら嫌だと感じていても、居候先のお世話になる人に対して、迷惑そうな表情を浮かべる事は出来ない。
マイダーリンは作り笑いを顔に貼り付けて、
「…では、案内して貰います」
「やったー!では早速行きましょうっ!」
あたしに連れられ、リビングを去る事となった。
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