ルンルン気分で階段をのぼりきり、あたしの部屋まであと少し――だったのに。
大きな影が、あたしの目の前に現れる。
ドクドク……と、心臓の鼓動が激しくなる。
意識してしまう。したくないのに。
そっと床に向けていた視線を、上のほうに向けていくと――。
「久しぶりだな」
「――ッ……!!せんせ……」
「今、時間あるか?」
そこには、あたしが忘れたくても忘れられなかった、先生の姿があった。
先生は紺色のセーターにベージュのパンツを合わせた私服で、あたしの前に立ちふさがっている。
どこかに出掛けるのかな……?
由梨さんのところかな……?
きっと、あたしには関係のない場所だと思うけど。
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