俺をオトしてみろよ。~愛しのドクターさま~




絵梨にゃんだって、池谷くんでもいいんじゃないかって、そう言ってた。


それでもやっぱり、あたしの心の片隅には――いつも先生がいることに、気付きたくなかった。


諦めたいのに、諦めきれない。


勉強に集中しなきゃって分かってるのに、決心したのに、やっぱりあたしは弱いままだ。




「……帰るね、絵梨にゃん!今日はしっかり寝よっと!」



「そうだね。ココア、冷める前に早く飲みなよ?」



「ありがとう!じゃ、明日ね!」




あたしは急いでカバンとココアを手に取ると、教室を出て行く。


教室の片隅で、池谷くんがクラスメイトと談笑していたけど、視線に入れなかった。



――テストが終われば、あたしはきっと、池谷くんに返事を返さないといけなくなる。


先生のことも、完全に諦めないといけなくなる。



あんなに嫌いだったテストが、今は終わらないでほしいと願わずにはいられなかった。




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