「おはよう、池谷くん!」



「おはよう、柚。ちゃんと起きれたんだね。柚のことだから寝坊するのかと思った」



「ちゃんとあたしだって起きられるよ!」




教室に到着すると、そこには池谷くんの姿があった。


ふたりきりの朝早くの教室は、なんだか不思議な気分。


部活の朝練に出ているクラスメイトのカバンがところどころ机にかかっているものの、教室にはあたしと池谷くんのふたりだけ。


池谷くんはあたしの前の席に座ると、教科書とノートを取り出した。




「テストまであと少しかあ。早く過ぎてくんないかな」



「え?池谷くんはあんまりテスト好きじゃないの?勉強出来るから、てっきり好きなのかと思ってた……」



「いやいや、テスト好きって俺って一体なんなんだよ。俺だって勉強から早く解放されて遊びたいっての」




うーん、と両手を組み背伸びをする池谷くんは、あたしに視線を合わせると、口を開いた。




「もちろん、柚ともたくさん遊びたいし思い出もたくさん作りたいけど」




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