アイツのことを考えている時だった。
急にダイニングの扉が開き、驚いて視線を移すと、そこには。
「あ、あれ?あたし寝坊した……?」
「まだ6時前よ、柚。たまたま朔夜くんが早起きしてるからって勘違いしちゃったのね」
自分が寝坊したと勘違いしてパニックを起こしているアイツがいた。自分の娘を微笑ましそうに見ているおばさんの瞳は優しい。
アイツは制服に着替えていて、支度を終えていた。
……気まずい。
アイツを振ってから、まともに顔を合わせたのは今日が初めてだ。
いつもはわざと朝食と夕食の時間をずらしていたからだ。なのに、何故今日に限って、あんな夢を見た後に会ってしまうんだ?
ポーカーフェイスを装っているけど、内心これからどう接すればいいのか分からなかった。だけど、
「おはようございます、先生。早いですね!」
アイツは、にこやかに俺に話しかけてきた。
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