柚――そう呼ばれている、桜井家の娘。
おじさんもおばさんも、アイツの話になると、すごく生き生きとしている気がする。
そんなアイツを、俺は泣かせてしまったんだ。
弱虫な俺にぶつかってくるアイツの真っ直ぐな瞳に、大粒の涙を流させてしまった。
あの時のアイツの表情を思い返してしまい、罪悪感でいっぱいになってしまった。
「大切にされてますね、アイツ」
「柚は一見ポジティブで考えなしに突っ走ってるように見えるけど、ああ見えてすごく物事を考えられるし、気配りも出来る子だと思ってる。
そんな娘が今、勉強という壁と戦ってるのよ。諦めずに苦手な分野に取り組んでる。そんな柚をあたしは応援してあげたいの」
アイツは、幸せだな。
こんなに想ってもらえているなんて。
俺も、微力ながら願っている。アイツの努力が、報われることを。
「お母さん、おはよ――って、え?」
.

