俺をオトしてみろよ。~愛しのドクターさま~




「うーんっ。あと一問解けたら絵梨にゃんとドーナツなのに!!」



「焦ったらどんどん分からなくなるから、柚。一回落ち着いて、さっき教えた公式を思い出して」




シャーペンと握り、苦手な数学と向き合う放課後。


あたしと池谷くんは、これまたおなじみになっている図書室にて勉強に取り組んでいた。


根気強くあたしに付き合ってくれる池谷くんと、ドーナツのために教室で勉強しながら待ってくれている絵梨にゃんに非常に申し訳ない気持ちになる。


でも、今のあたしには留年回避という大きな目標がある。



それに……進級すれば、本格的に進路の話にもなる。今のうちにたくさんの知識を蓄えておいて、いざというときに対応できるようにしたい。


誰にも打ち明けたことのない、夢のために。




「よし!解けたよ池谷くん」



「うん、完璧だね。それじゃ、今日の勉強会はこれで終わりにしよっか」




最近は勉強のやる気が池谷くんに伝わっているようで、あまり勉強中に怒られなくなった。ちょっとした進歩だよね。


充実感で胸がいっぱいになったまま、あたしと池谷くんは図書室を出た。




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