俺をオトしてみろよ。~愛しのドクターさま~




***



「ねぇねぇ絵梨にゃん!!放課後、駅前に新しく出来たドーナツ屋に行かない?」



「アンタ今日も池谷と勉強会じゃないの?もうすぐ期末テストだし」



「そーんなの関係ないない!!明日からで問題ないよ!!きっと!!」



「留年しても知らないからね。このバカ柚!!」




――あの忘れたくても忘れられない、先生との最初で最後のデートから時が経ち。季節はあっという間に冬になった。


制服のブレザーの下にカーディガン、マフラーと手袋が必需品になってきた今、あたしは絵梨にゃんをドーナツ屋に誘っていた。


もうすぐ期末テストが迫っていることもあり、絵梨にゃんはあまりいい気持ちになっていないせいか、あたしの頬を力いっぱい掴んでくる。


絵梨にゃんに全力で掴まれた頬がジンジンと痛みを持ち出すけど、それよりもこの辛い気持ちから逃げ出したかった。



こうやって無理矢理にでもはしゃいでいないと、壊れてしまいそうだったから。




「ねぇお願い絵梨にゃん!!」



「ちゃんと進級するまで口きかないわよ?」



「ごめんなさい絵梨にゃん。もう言わないから話しかけてください」




.