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「ねぇねぇ絵梨にゃん!!放課後、駅前に新しく出来たドーナツ屋に行かない?」
「アンタ今日も池谷と勉強会じゃないの?もうすぐ期末テストだし」
「そーんなの関係ないない!!明日からで問題ないよ!!きっと!!」
「留年しても知らないからね。このバカ柚!!」
――あの忘れたくても忘れられない、先生との最初で最後のデートから時が経ち。季節はあっという間に冬になった。
制服のブレザーの下にカーディガン、マフラーと手袋が必需品になってきた今、あたしは絵梨にゃんをドーナツ屋に誘っていた。
もうすぐ期末テストが迫っていることもあり、絵梨にゃんはあまりいい気持ちになっていないせいか、あたしの頬を力いっぱい掴んでくる。
絵梨にゃんに全力で掴まれた頬がジンジンと痛みを持ち出すけど、それよりもこの辛い気持ちから逃げ出したかった。
こうやって無理矢理にでもはしゃいでいないと、壊れてしまいそうだったから。
「ねぇお願い絵梨にゃん!!」
「ちゃんと進級するまで口きかないわよ?」
「ごめんなさい絵梨にゃん。もう言わないから話しかけてください」
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