「由梨さんの結婚相手の水樹さんって、さっきのイタリアンの水樹さんなんですか?」
「ああ……。アイツら高校の時からの付き合いなんだ」
そうだったんだ!
あんなにおいしいイタリアンを作る水樹さんと、可愛くて清楚な由梨さんなら幸せな家庭を築いていそう。
「おめでたいですね!!」
「そうだ、な……」
盛り上げようと言葉にしたのに、やっぱり先生の様子がおかしい。
さっきからあたしと視線を合わせようとしないどころか、あまり会話を続けたくないのか、相槌しか打ってこない。
……いやだ、やめてよ。
これじゃあ、あたしの考えていることが当たってしまいそうだよ。
詳しいことは分からないけど。きっと先生は、
「帰るか」
「……はい」
由梨さんに、好意を抱いている。
.

