それでも、この状況は気まずい。


意を決して先生に声を掛けると、我に返ったようにあたしを見た。




「先生、大丈夫ですか?」



「ああ、昔を思い出しててな。すまない、懐かしかったから。

――由梨と、知り合いだったんだな」



「はい。親友のお姉さんなんです。あたしも由梨さんと先生が友達だなんてビックリしました!」




なるべく元気を装って先生に話しかけるけど、やっぱりその表情は、どこか浮かないと言いたそう。




「由梨と俺と水樹は、高校の時の同級生だったんだ。いつも一緒にいた。楽しい学校生活だったよ」




その言葉を聞いて、すぐにピンときた。


「お姉ちゃんが今度、結婚することになったんだって」と言っていた絵梨にゃん。


「お前は水樹と結婚するんだから」と告げていた先生。



もしかして由梨さんの結婚相手は、イタリアンのお店で働いていた、水樹さん……?




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