俺をオトしてみろよ。~愛しのドクターさま~




せん、せい……?




「悪い。少し頭痛がしてな。気にするな」




そう言われても、気になってしまうのが恋心なのに。


そんなあたしの恋心を無視するかのように、先生は伝票を持って席を立った。



なんでだろう。

せっかく先生との距離が縮まった気がしたのに……急に感じてしまうこのもどかしさに、あたしは、




「先生、待ってくださいよ!」




ただ、その後ろ姿を追いかけることしか出来ない。


ねぇ、先生。

いつか先生が、あたしの背中を追いかけてくれることなんてあるのかな……?


そんな贅沢すぎる悩みを胸に、あたしは先生と水樹さんのお店を後にした。




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