先生に見とれていると、急に声を出すからビックリしてしまう。
「うーん……。先生は何が食べたいですか?」
「遠慮するな。お前が食べたいものを言ってくれ」
「じゃあ……パスタが食べたいです!!」
「パスタな。了解。近くにおいしいイタリアンのお店があるから、少し早いけどそこにするか」
お昼のメニューが決まると、先生がアクセルを踏む足を少しだけ強めた。
先生、なんでも知ってるんだ。
大人な先生と、少しでもいいから近付きたいよ。
それでも……そんな気持ちを隠すように、あたしは先生の前ではしゃいでみる。
「おいしいイタリアン、早く食べたいです!!」
「本当にお前は嬉しそうに笑うな」
違うよ、先生。
あたしは先生と一緒にいれることが何よりも嬉しいんだよ?
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