「分かりました。今日はしっかり休みます。そしてついでに……頭も冷やしてきます」
大人な先生はあたしの気持ちで迷惑しているかもしれないと思い、聞き分けがいい子を演じることにした。
カバンを持って、診察室の前で一礼する。
先生の貴重な勤務時間に、少しでもあたしが存在していたことが、今日一番の収穫だと思いたい。
この部屋を出てしまったら、きっと先生との関係は以前と同じように、冷たいものになってしまうけれど。
それでもあたしは、諦めないもん。
そっと診察室の扉に手をかけた、その時だった。
「今日仕事終わったら、お前に部屋に行くから」
「へ……?」
「いいな?そんじゃ俺、仕事するから」
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