俺をオトしてみろよ。~愛しのドクターさま~




……沈黙。

きっと、先生はあたしの“胸が痛い”って症状が仮病だってこと、気付いちゃったんだろうな。


でも、この胸の痛さは、病気なんかじゃなくて、

――恋煩いから来るものです。




「先生!あたし実は、病気なんかじゃありません!」



「確かにそうだろうな。聴診器でも異常なんてな――」



「でも、胸が痛いのは確かなんです!先生が好きすぎて、しょうがないんです!!」




自分の想いを口にするなんて、久しぶりかもしれない。


先生があたしを避けたりなんかするから、この気持ちの行き先が無くなってしまっていた。


やっぱりあたしは、全力で先生と向き合わないとダメみたい。



だってあたしの取り柄って、




「なんであの時、キスなんてしたんですか!」




素直なところだけだから。




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