「おはよう、柚と黒木さん」
「出た出た。今日も絶好調だね池谷」
ドキンと胸が高鳴ってしまう情けないあたしをよそに、絵梨にゃんが冷たい目で池谷くんを見る。
なんだかんだ絵梨にゃんとも仲良くなっている池谷くんは、あたしを視界に入れると、ニッコリと笑った。
「柚、おはよう」
「お、おはよう……」
恐る恐る挨拶すると、池谷くんは仲良し男子グループのほうに向かっていった。
最近の池谷くんは、本当に優しくなった。
あたしでも分かるもん。全身から発せられる“スキ”オーラが日に日に濃くなっていることに。
「柚、ちゃんと言いなよ。“先生のことが好きだから、付き合えません”って」
「分かってるけどさ……」
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