「桜井、よく頑張ったな。とりあえず留年は回避だ」




あたしと桐生っちしかいない、ふたりきりの教室。


もう少しで夕日が差し込んできそうな放課後、あたしの視線の先にはあるものが映されていた。


それは、先日行われた中間テストのあたしの結果一覧。



そう――池谷くんと先生に勉強を教えてもらい、ふたりと気まずくなる原因を作った、あの中間テスト。




「次も頑張るね、桐生っち……」



「おお、なんだか元気がないみたいだけど、池谷に引き続き勉強教えてもらえよ!」




あたしの点数が良かったことがよほど嬉しいのか、桐生っちはニコニコ笑顔であたしを見てくる。


って、あんな言い逃げみたいな告白をされてから、仲良くできるわけないじゃんか!!


あたしの気持ち、少しは考えてよーっ!!




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