ふっと目に入った腕時計が、5時を指していて、そろそろアイツが来るな、と思い俺は立ち上がった。 立ち上がってから、あまりにも自分が滑稽に思えて笑えてきた。 自分はただ、この当たり前の日常を壊せないだけだ。 どれだけ他人の前で偉そうに台詞を吐いても、結局は彼女に好きだと伝えられないのだ。 それでも俺は、帰ったときに、遅いと言って膨れる彼女を想像して帰りを急いだ。