「木村、アイツは?」 俺が彼女の教室にいくと、いつも二人でいるはずの席に、今日は一人しかいなかった。 「う゛ぁー、もう遅いよ」 木村は、俺を睨むと机を数回叩いた。 「・・・約束してたか?」 俺がそう言うと「ちっがーう」と更に鋭く睨んでくる。 「綾香だったら、どっかの男に連れ去られたよ」 これ以上にないくらい嫌そうな顔で「もう少し早くくれば」と、ボソッと言った。 「早いな」 俺が素直な感想を述べると、木村はまた俺を睨んだ。