――――――――…


「うわ、どーしたの?その顔!!」



翌日の教室でナツに言われた第一声に、私は乾いた笑いをするしかなかった。



「ちょっとね……」


「ちょっとね、じゃないよ!
まるでユーレイだよ!?」



ナツに言われるまでもなくわかっていた。



寝不足でくすんだ顔、目の下の巨大なクマ、かさかさな唇。



今朝、鏡を見た瞬間に泣きたくなった。



ナツは心配してくれたけど、教室で理由を話すわけにはいかない。



海翔様の昨夜の様子が気になって眠れなかったなんて言った日には、

親衛隊の子たちに、コンクリ詰めにされて沈められてしまうかもしれん……



「おーっす!…うわ、ぶさいく」


「だーいーちー?」



挨拶がてら大げさにひっくり返る素振りをした大地に、私は睨みをきかせてにじりよる。



「あはは、冗談冗談。

で、どーしたよ?その顔は。
大地大明神に話してみい」



エッヘンといいたげな大地に吹き出すと、

「昨日なんかされたのか?」

と、ひそひそと心配そうに囁かれた。



否定しようとしたところで、教室の入り口付近の黄色い悲鳴に阻害された。