軽快な音が、最上階についたことを教えてくれる。
扉が開いたそこは、
摩天楼。
さっきのレストランとはまた違う雰囲気で、
室内の明かりが点々とした小さなフットライトしかないそこは、
エレベーターをぐるりと囲んだ360度の絶景ポイント。
息を飲んだ私の手を握ったまま、海翔様は私を夜景の近くへといざなう。
ガラスの向こうはキラキラとした宝石みたいで、
私たちが通っている学校や住んでいる寮があるとは思えなくて、
まるで別世界。
嬉しくなって海翔様を見たら、
海翔様は夜景じゃなくて私を見ていて。
夜景が映り込んでキラキラした瞳の中央に、
私がいた。



