「決まった?」


海翔様の息が、首筋にかかってくすぐったい。


ドキドキが止まらない。


やばい、心臓が出そう。

むしろ全身が心臓になってる。



「決まった?って、何が?」



ドキドキを気付かれないよう、精一杯冷静に努めた私の努力を吹き飛ばすかのように。



「キス攻めと言葉攻め、どっちがいい?」



悪魔降臨ッ……!



ぐるりと私の体を仰向けにして、

海翔様、まさかの馬乗り。



もはや何も考えられない私に、執拗に選択を迫る。



「どっち?」



「どっちもイヤ……」



涙がにじむのは、本気で嫌だからか、それとも羞恥か。



混乱した頭には、もう考えるチカラなんてない。



「選べと言っている」



強引さに音を上げそうになる。



でも、なんでだろ。



海翔様の瞳は、私だけを映していて、

どこか不安げで、

どこか柔らかい。



そしてゆっくりと降りてきた顔が、私の耳に寄せられた。



「また、あとで」