……不覚。



チュンチュンという小鳥のさえずりを耳にして、

私はベッドで上半身を起こし、ぼんやりと隣を見た。



すやすやと心地よさそうに寝ているのは、

我ら吉倉高校期待の王子様。




恐怖にうち震えたあのあと、

『俺を呼べ』のセリフを聞いて気が抜けた私は、

耳になじむ鼓動と、

じんわりと温かい人肌のぬくもりに包まれ、

寝てしまったらしい。



ぼーっとした頭のまま、隣で眠る海翔様を見る。



こうやって黙っていれば、

うん、ちょっと好みかもしんない。



でもあの二重人格っぷりと、

いじめっこ体質と、

エロっぷりは勘弁。



だけど……





んー、という声がして、隣から手が伸びてくる。



止まった思考は私の体も止まらせてて、

気付いたら体を倒されて、後ろから抱き締められていた。



「おはよう」



耳にかかる温かい息と、少しかすれた声。



「オ、オハヨー」



ガチガチに固まった挨拶に、クスクスと笑いながら、海翔様の頭が私の首に寄せられた。



ち、近いっつーの!!