知り合いはみんな地元から近い高校だから、少し離れたここに進んだのは私だけ。
親も知り合いもいないのは、正直かなり寂しい。かなり不安だ。
だけど、ぐちぐち言っても仕方ない。
私は緊張しながら門をくぐった。
まずはクラスを確認して、と。
キョロキョロと掲示板を探した、その時。
ざわ、と周りの人々の雰囲気が変わった。
何かを中心にそれは広がりを見せ、じわじわとこちらに近付いている。
な、何……?
歓声だか悲鳴だかの大きな渦が巻き起こり、私はパニックを起こす。
な、なんなの……!?
戸惑い、困惑、少しの好奇心。
ひときわ響く、女子の声。
「海翔(かいと)様ー!!」
さ、さま……!?