「どこへ行くって?」
突如後ろから声をかけられ、心臓がドクンッと大きく波打った。
そぉ~っと後ろを振り返ると、
にっこりと笑いながらも、ぴくぴくと青筋を立てているのが見えるような、
我らが王子様、見参。
「……えへ」
笑って誤魔化そうとしたけど、そんなことは勿論看破されていて、
青筋を増やしただけだった。
「申し訳ないけど、アヤさんは僕と帰る約束をしているから」
私の誤魔化しは無視し、にこにこと対外用の、青筋が隠れた王子様スマイルで、周りの男子を静かに見渡す。
「そ、そういうことなら……」
パフェに誘ってくれた男子は残念そうに言ったけど、
私も残念です。
「アヤさん。パフェくらい僕がいくらでも奢って……いや、分割払いがいいんでしたね」
いま、ニタリと笑ったように見えたの、私だけ!?
ガクブルして泳いだ私の目に、こちらを苛ついたような瞳で見る大地と、
その首根っこを押さえているナツが見えた。



