――――――――…
放課後もあっけないくらいに何も──
という訳にはいかなかった。
昼休みに何もなかったことで油断していた私は、
昨日のように荷物をまとめておくという準備を怠り、
一人の男子に捕まってしまったのだ。
「あの、桜野さん。ちょっといいかな」
「断る」
にべもなく拒否した私は、それでもだいぶこの状態にも慣れて来た気がする。
だが敵もさるもの。
「パフェの美味しいお店があるんだけど」
よく私を研究していらっしゃる。
心が揺れ動くじゃないかっ!!
即答しない私に、彼は脈ありと見たのか、この際とばかりにたたみかけてくる。
「おごるよ?」
「行こうじゃないの」
桜野亜弥、アッサリ陥落。
泣く子も黙る私ですが、パフェと女の子の涙には勝てません!
泣く子も黙るなんて事実はないけど、まぁそのへんの細かいことは気にしないってことで。
180度意見の変わった私に、告白タイム待ちらしい周りの男子が一斉に『弱点、パフェ』とメモをとったのを、
喜んでなんか、いないんだからね!?



