恐る恐る手を伸ばした私を鼻で笑い、
「『かたじけない』って。お前は武士か」
と強烈な一言を浴びせてくる。
「ひ、ひど……!」
本人だ!
確実に本人だ!!
安堵する一方、その暴言に対抗して手を振り払えない自分が悲しい。
ズガビーンと落ち込んだ私に、海翔は笑った。
「ウソ。可愛い」
「えっ!?」
あまりの驚愕に、窓硝子が割れんばかりの大声を出してしまう。
若干、共鳴してます。
ビリビリいってます。
自分がしたこととはいえ、怖いですっ!
でも恐怖なんてものをとっこして、
頭の中でリフレインされる海翔の言葉。
「……声デカイ」
「だ、だって今、か、かかかかかかかかーー!!」
「ぷ。ドモリ過ぎ。
つか何言ってんのかわかんねぇ」
ナンデスカその無邪気な笑みは。
私を殺す気デスカ。
私、一体何の罪で心臓破裂の刑に処されるっていうんですかっ!!



