階段を昇りかけて、ふと上を見る。
海翔の背中の奥に段差が連なり、
青白い蛍光灯がそれらをぼんやりと照らし出しているのが、
こ、怖い。
そう言えば下に降りるときは、食堂の明かりもあった。
青白いだけでなく、暖かい色合いの光も混じっていた。
だから怖さを感じなかったというのもあるんだろう。
たじろぐ私に気付いたらしい海翔が、
ちょっと眉をひそめる。
何をしてるんだという表情をしつつ、
手が伸ばされた。
「……言えよ。ほら」
「か、かたじけない……」
怖いなら怖いで言えってことなんだろうけど、
言ったら言ったで何かが『では期待に御応えして』とかって出てきそうなんだもん!
しかしこんなに優しくよく気のつく海翔なんて、初めて見るんじゃなかろうか。
まさか本人じゃなくて、『何か』だったりしないよね……?



