「……送る」
「へ?」
向きをかえ、背中を見せた海翔に、私は間抜けな声を出す。
いや、だって、送るとか意味わからんし。
寮の中も、そりゃちょっとまだわからない部屋とかもあるっちゃあるけど、
さすがにここから部屋まで迷ったりは……
「暗いの、嫌なんだろ」
そう言ってスタスタ歩き出した海翔の背中を
穴の空くほど見つめていた。
なんか……優しくないですか?
ご飯作ってくれたり、
暗いの怖いことを覚えててくれたり。
来るときは空腹が勝ってたけど、
帰りに怖いスイッチが入ったら確かに明日の朝まで階段で気を失ってしまうなんてことも
「早くしろ」
「あ、う、うんっ」
顔だけこちらを向いて呆れたような顔をした海翔に返事をしながら、
私はこそばゆい気持ちで背中を追いかけた。



