海翔の顔を見れない自分をごまかすように、ケーキに集中してるフリをした。
間に流れる空気が気恥ずかしくて、半ば顔を突っ込むかのようにしてケーキを平らげる。
「ごちそうさまっ」
勢いそのままに私は立ち上がり、お皿片手に厨房へ向かった。
シンクに突っ込んで、スポンジをわしゃわしゃと泡立てる。
何かに急き立てられているかのように動く私の背後に、気配を感じた。
「なに慌ててるんだ?」
「あ、あわててなんかっ……
ほら、もう時間も遅いしっ、早く片付けて寝なきゃっ!
明日も学校だし!!
海翔も寝なよ!
ご飯ありがとね」
一方的にまくしたて、食器を洗う。
オムライスとケーキだけだったから、洗う食器も少ない。
もしかしたらそこまで考えて……?
片付けが楽なように、ワンディッシュのオムライスにしたんだろうか。
なーんて、そんなわけはないか。
水切りかごに入れ、最後に手をふいて、視線は下げたまま振り返る。
案の定、海翔がまだそこに立っていた。



