はああと溜め息を吐き出して、海翔は私から視線をそらした。



「お前がきょろきょろするたび、不安なんだよ」


耳まで真っ赤にした海翔の珍しさに一瞬、何を言われたのかを聞き逃す。



ゆっくりと私の耳に入ってきて、ゆっくりと脳へ到達した。



えっと、それってつまり……



「ヤキモチ……?」


「違っ……

……わないかもな」



ついには顔もそむけてしまった海翔。

赤く染まった耳だけが見えている。



「だからあんま、きょろきょろすんな」



とどめとばかりにそう言われ、私の顔までつられて赤くなってしまう。



………………

…………


……は! また大地のこと忘れてた!!



「……そうだ大地。

あ、あのね。

け、けがとかしてない?

大丈夫??」



とってつけたような心配に、大地は力なく半ば無理やりのようにして微笑んだ。



「大丈夫。ありがとな」



その言葉と沈んだ表情に、ちくりと心が痛む。



決して友達をないがしろにするような私じゃないんだけど、

あまりに自分のことで手一杯で、

大地に心配や迷惑ばかりかけているから。



「ごめんね、大地」