身を潜めながら教室へと向かう。



とは言っても、廊下に隠れる場所なんかありはしない。



だから三人ともそれぞれ自分の体がすぽりと隠れる、いい感じの段ボール箱で身を隠していた。



「これが戦友ならぬ潜ゆ──」

「アヤ、黙って」



「そうだぞ、逃亡者なんだから逃亡者らしく無言でだな」

「大地、うるさい」



ぴしゃりとナツの叱責が飛ぶ。



「でもさ、ナツ。

あたしがこんなこと言うのもなんだけど、

これバレバレなんじゃないかなー?」



「うんうん。なんか凄く視線を感じるぞ。

っつーかガン見されてっし」



「いーのよ別に。
要はこの段ボールに入ってるのがアヤだとバレなきゃいいんだから。

みんな遠巻きに気味悪そうに見てるでしょ?

誰もあたしたちだと気付いてないし、段ボールを開けようともしない。

関わりたくないと思ってるんでしょうね。

十分でしょ」



そんなもん、なのかな……



なんとなく納得したようなしないような状況のまま、ズリズリと動きにくい段ボールを滑らせながら、私たちは歩を進めた。