「ところで……」
一限目開始を知らせるチャイムを聞き流しながら、私はナツの言葉を聞いていた。
一限目はサボることにした。
ナツが授業よりも重要だと言ったこともあり、それに私自身気になっていたことでもあるから。
ナツは中学のときもこの学園だったということもあり、親衛隊のことについても知っていた。
「あの垂れ幕は、親衛隊の幹部が動き出したってことを意味するの。
アヤの名前を全校生徒に知らしめるための垂れ幕。
アヤがターゲットだと知らしめるためのね。
ターゲットといってもイジメじゃない。
下っ端はともかく、幹部は先生からの信頼も篤い優等生が多いから。
そして一風変わった考えの持ち主が多いのよね……」
「な、なんとなくわかった。
ねぇ、私はなんの標的にされるの……?」
ごくりと鳴った自分の喉がうるさい。
固唾を飲んでナツの言葉を待つ私に、ナツはゆっくりと言った。
「恋愛、よ」
「……へ?」
「つまりターゲットが海翔さまから離れるように、当て馬ならぬ当て男子をするの。
良かったわね、今日からモテモテよ、アヤ」
う、嬉しくないっっ



