ひとりになって、さっきケバ子に言われたことを思い返す。
ケバ子はこうも言っていた。
『あの垂れ幕は、宣戦布告だよ』
宣戦布告。
その言葉が意味することはわからない。
ひょっとしてこれが、今朝海翔の言っていた『気を付けろ』ってこと?
海翔の親衛隊の幹部。
宣戦布告。
海翔の言葉。
気を付けろ。
ケバ子の言葉。
ぐるぐると頭の中を駆け巡るそれらに、私は知恵熱が出そうだった。
「なんなのよ、もう……」
ぼやいた私のあとに、
「なにが?」
という言葉が続いた。
振り返ると、待ち望んだその人の姿が見えた。
「ナツーー!!」
がばと抱きついた私に、ナツは面倒くさそうによしよしと頭を撫でる。
「ナツー! 昨日はごめんねぇぅえ!!」
「あーはいはい。気にしてないから。
で、昨日はあれからどうだったの?」
私をなだめながら、ナツはいきなり核心をついてきた。



