「おまえ、どうして……?」


ぼう然とする私を、少女はいたずらっぽい目で見上げた。


「人魚の肉はね、食べると不老長寿になるんだって」


青い髪の少女はくすくすと笑って、


「あたしはそんな人魚だもん。鉄砲で撃たれたくらいじゃ、死なないんだから」


優しい少女は村人を襲うフリをしながらも、
誰一人としてこの猟銃で撃たず、傷つけなかった。

私はその事実に気がついて、

ここのところ少女が私に見せてくれた数々の手品やいたずらを思い出して、

赤いインクに染まった少女が手にした、空の鉄砲に視線を落とした。