村人が家に帰って人のいなくなった村の広場で、

動かない彼女を胸に抱いて、
自分がつけた彼女の名を呼んで、

私は泣き続けた。


彼女のことをもっと大切にすれば良かった。


どうして、なくしてしまってから気づいたのだろう。


後悔と、
出会ってから見てきたいくつもの彼女の笑顔とが胸に浮かんで、


「コウタ……?」


赤く染まっていた少女が身じろぎをして、私の名を呼んだ。


「泣いてるの?」


涙の水底に沈んで揺れている世界の中で、
白い手がそっと動いて、私の頬に伸びるのを、私は信じられない思いで見つめた。


私に触れた手は、いつものようにひんやりと冷たかった。