泣いた赤色、うたかたの青

「そなえもの?」

少年はブドウ色の瞳で少女を見つめて、
何度も大きく目をまたたきました。

「そう。つまりあたしはキミのもの、ってこと」

女の子はニヤッと笑ってそう言いました。


少年がなんにも言えないでいると、
女の子は「腕がいたい」と顔をしかめました。

少年は慌てて、少女のかぼそい体をしばりつけている縄をほどいてあげました。

「供え物なんか」

少年は急いで言いました。

「おれはいらない。村に帰れよ」

あんまりびっくりすることが続いたので、言葉が乱暴になってしまって、
ちょっと後悔しました。