俺が座るカウンターに珈琲を置くマスターの顔はニヤリとしていた。

隣には足を組んで俺の顔を見ながらニヤリと笑う夏目の姿もある。

「説明してくださいよマスター」

と俺が喋ると夏目はクスクスと笑いながら口を開いた。

「私は知っていたのよ、仲西雄大の目的もあなたと私をあの場所に誘き寄せることも全て知っていたの」

俺の頭の中は混乱の文字で独占されている。

そんな俺を見ながら夏目は嬉しそうしている。

「私はマスターに依頼で仲西雄大の思惑を阻止するためにわざと仲西雄大の罠にハマったのよ」

俺は夏目の発言を耳にし、少し恥ずかしくなった。

「じゃあ、俺が仲西雄大に依頼を受けることも知っていたんですか」

マスターは笑みを浮かべながら答えた。

「あぁ、初めから全て知っていたよ。わしがそうなるように計画したんじゃからな。わしの知り合いに頼んでお前の情報を仲西雄大に伝え仲西雄大が食いつくように仕向けたんじゃ」

たった今、二人にハメられたことに気づいた。

「何で俺に相談しかったんですか??俺を騙す必要なんて無いじゃないですか」

そんな俺の苦痛な叫びを聞いていたマスターはニヤリとした。

「敵を騙すにはまず味方からと言うだろう」

尽かさず、夏目が言葉を被せた。

「私は楽しそうだから秘密にしてたの、あと昨日の魔法のことだけどあれは単なる防弾ジョッキを装着させてただけだから」

俺も尽かさず言葉を被せた。

「夏目君、それは流石に分かってるよ」

すると夏目は少し残念そうに「あら、そう」と呟いた。