時間は日付を越えて12時半。 静かな寝息をたてる亜矢の髪を撫でて、 俺はため息をついて携帯の発信ボタンを押した。 『お、悠斗か?めずらしーな。何だよ』 携帯から聞こえる優太の声に、 この分じゃ亜矢がいないことに気づいてないな…と思いながら。 「亜矢、今日は帰んないから」 『あ?何だって?』 「家に泊らせるから、心配すんな」 『ちょっと待て!』 電話の向こうでは、ドタドタと走る音。 『ああ!?ねーちゃんがいねぇ!ちょ、マジで泊める気か?ねーちゃんを出せ!』