でもそんなことしたら、美紗はこの位置に居てくれなくなるかも知れない。

(まぁ、寝ぼけて抱きしめたことは何度かあるけど)

今の俺らにとってはこれが限界の距離。

これ以上は、危険だ。

壊れたら、戻れないし、一緒に住んだりも出来なくなるかもしれない。
それは怖いし、嫌だった。
でも、男としては好きな人に触りたいと思うのは自然なことだ。
こんなところで理性が試されるようになるなんて思わなかった。


「ったく。そんな顔で見んな」

「悪かったわねっ! 変な顔でっ」

「違くて」


俺は美紗からちょっと離れる。
わかってくれ。


「俺もさ、一応男なわけよ」

「?」


俺、自覚してからヤバイ。

そのうち止まらなくなるんじゃないかな。

拒絶されるのは怖いけど、本当はもっと近い距離で君に触れたい。

俺、このまま一緒に住んで大丈夫だろうか?
なんか、自信なくなってきた……。