その視線の先には女が立っていた。啓太は、その女の顔に見覚えがない。歳は三十代?髪はショートカットちょっとスレンダー系の…はっきり言って美人?

女は男たちと啓太の間に割り込み身体を張って止めようとする。

「おばさん、怪我したくなかったら引っ込んでな」

リーダーが時代劇の悪人みたいな台詞をはいた。

「今、何って言った?」

女が聞き直した。

「おばさんは引っ込んでろって言ったんだよ」

リーダーが繰り返した

『おばさん?』

優しそうな女の顔がいきなり鬼の顔へと変わった。その瞬間…

女の右拳が左にいた男の顎を直撃した。

あわてて右側の男が飛びかかったが、女は軽くかわして、男の襟を持ったかと思ったら背負いアスファルトに叩きつけた。