今、俺にできるのは……お前が目を覚ますまでの間に、お前を刺した男をムショにブチ込んでやる

俺が、松浦の止血をしている間に逃げやがった腰ぬけ男を、叩きのめしてやる

なあ、松浦…なんでお前が刺されるんだろうな

俺のほうが、遥かに多くの罪を犯してるっていうのに、な

俺の手には、大勢の人間の血が降り注いできたというのに、どうして刺されて痛い思いをするのは松浦だったのだろう

お前は普通に恋愛をして、ただ恋人と別れただけなのに…

何も悪いことなんてしてない

ふつうだろ

恋愛して、別れて…新しい恋を見つけて、生きてくなんて

なんで当たり前の生活をしている松浦が傷つくんだよ

「俺はもう…大事な人間が傷つくのは嫌なんだ」

俺はベッドから出ると、パソコンの前に立った

「捕まえる。この手で…松浦を刺した男を捕まえて、ぶん殴ってやる」

殴るだけじゃ、俺の怒りは収まらないけどな

これ以上ない苦しみを、相手に与えてやりたいよ

命乞いして、俺の足元にしがみ付いてくるような苦痛を与えたい

「なあ…俺を止めたいなら、松浦…早く目覚めろよ。お前が死んだら、俺はお前を殺した奴を殺したくなる」

俺はぼそっと呟くと、回転椅子に腰かけた

生きろ、松浦

生きて、俺を止めてみせろ