僕が部屋を出た瞬間に、部屋の中から彼女のものであろう嗚咽が聞こえてきた。

同時に鼻をすする音も。



ほら、やっぱり泣きたかったんじゃん。



所詮、彼女も人の子だ。

この状況で怖くない訳がない。



それでも僕の前では強くいようとした。

それだけですごいと思う。




「・・・全部聞こえてる。」




泣き声は全部僕に聞こえてるけれど。



だけど、今日だけはそれを聞かなかったことにしよう。

それが彼女の為。

僕から彼女へのご褒美だから。




「明日からは・・ずっと傍に。」



想像するだけで楽しみが広がる。



ねぇ、今だけは我慢するけど、明日からは我慢なんてしてあげない。


だから、覚悟しててよ?