ま、確かに俺はオッサンにこっぴどくやられたしね。


気持ちはわからんでもない。


だが。


「やめなよオッサン。もうすぐ警察が来るよ?逃げられる訳ないじゃん?」


「逃げられるさっ!!その訳わからん位に強い小娘はなんか知らんが弱ってるんだ。お、お前一人からなら逃げられるっ!!」


……俺も、甘く見られたものだねぇ。


仕方ない。


もうちょっと痛い目にあってもらいましょ。


「オッサンさぁ、さっき言われなかった?」


「な、何がっ!?」


「……『鎌鼬』は、雌雄一対の妖怪だ。って」


パッと、俺は堺の体を離し。


堺の体が地面に倒れる直前で再び抱き止める。


さっきまで騒いでたオッサンには、悪いが気絶してもらった。


俺の『先祖還り』は比較的弱い方だが、これ位は出来る。


余裕なんだぜ!?


とか一人ではしゃいでみるけど全然楽しくない。


よくエグい事平気で言ってくるけど。やっぱり堺とじゃないとつまんないなぁ。


あれ、俺ってもしかしてマゾなのかなぁ。とか考えながら。


俺は堺を抱き締めながら、救急車の到着を待った。


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